引越し

 ううう~む・・・
 ううう~む・・・
    くそ~!!
    くそ~!!
 あほたれ野ウサギがわしの大事なりんごの木をかじりまくりおったんじゃ~
 あほたれ野ウサギがわしの大事なりんごの木をかじりまくりおったんじゃ~
 いた!!!!!
 いた!!!!!
 あやつじゃ!! わしの庭を我が物顔で~許せん!!
 あやつじゃ!! わしの庭を我が物顔で~許せん!!
 なんて下品なお言葉は、オッリさんは言いません。ただ、オッリさんは自家製のりんごワインと、すっぱいりんごをかじるのが大好きなのです。
 なんて下品なお言葉は、オッリさんは言いません。ただ、オッリさんは自家製のりんごワインと、すっぱいりんごをかじるのが大好きなのです。
 新作をペイントするオッリさん。現在この作品はヘルシンキのギャラリーに所蔵されてます。
 新作をペイントするオッリさん。現在この作品はヘルシンキのギャラリーに所蔵されてます。

 

 

 

 

夏が近づいて・・・さみしい

 夏が近づいてきました。オッリさんのお宅は展覧会場として一般に解放されます。そろそろわたしは快適なオッリさんのギャラリーを離れなければなりません。一冬の優雅なギャラリー暮らしも終わりです。

 とは言え、地元のことはすべて、オッリさん頼み。近所の友人の空き家を借りてくださいました。それがまさか、あのすてきな赤い家だなんて!!

 

 

村のランドマーク。お借りすることになった赤い家をのぞきにいく。
村のランドマーク。お借りすることになった赤い家をのぞきにいく。
でっかい納屋に・・・
でっかい納屋に・・・

 母屋。ここにひと月住めるなんて! フィンランドの湖畔の小高い丘の上の赤いおうち。一軒家に思うように住めるなんて、夢があることだなあとしみじみ・・・

 

 冬の間中、遠目に眺めていた、美しい赤い家。(雪が深くて近づけんかった)

しかし、間近で見ると結構古い家であることが分かりました。

 

 

 朝もやに、もじり。たまらん!
 朝もやに、もじり。たまらん!
 愛情をもって、お掃除。もう何年だれも住んでおられない、空き家でしたので。
 愛情をもって、お掃除。もう何年だれも住んでおられない、空き家でしたので。
空気を入れ替え、せっせせっせと水ぶき空拭き、感謝を込めて・・・!!
空気を入れ替え、せっせせっせと水ぶき空拭き、感謝を込めて・・・!!
大窓からは湖を一望できます。
大窓からは湖を一望できます。
今更ながら、自分達の暮らしの形を作ろうと、ろうそくを灯してしばし物思い。家具等もすべてそのまま残された、かつての人の生活感が満ちた空間で、自分自身が落ち着ける時間を、先ず気持ちの面から確認したかったのです。
今更ながら、自分達の暮らしの形を作ろうと、ろうそくを灯してしばし物思い。家具等もすべてそのまま残された、かつての人の生活感が満ちた空間で、自分自身が落ち着ける時間を、先ず気持ちの面から確認したかったのです。
それまでは、自分たちだけの生活とは言え、そばにはオッリさん、レエナさんの温かい家がありました。ここで改めて、遠い国に来た実感を得ることとなりました。ぽかんと空白が出来たような、寂しいきもちになりました。
それまでは、自分たちだけの生活とは言え、そばにはオッリさん、レエナさんの温かい家がありました。ここで改めて、遠い国に来た実感を得ることとなりました。ぽかんと空白が出来たような、寂しいきもちになりました。
 そして、もうひとつ、この素敵な家にもそこはかとなく、不安を感じさせるものがあったのです。
 そして、もうひとつ、この素敵な家にもそこはかとなく、不安を感じさせるものがあったのです。

 

 「あの家は、長く誰も住んでないよ・・・Rさんのお母さんがいなくなってからねぇ・・・」

 遠い日の出来事を見つめるような眼差しで、レエナさんは言いました。私には、その表情は決して穏やかではないように感じられたのです。

 

 きっとそのお母さんは、この部屋で湖を眺めながらお亡くなりになったんだろうな、このベッドに身を預けて・・・わたしはそう思いました。

 

 ここはフィンランドですが、わたしの海外活動の元となった、ムンクの作品そっくりな室内の情感に特別な、なんとも言い難い雰囲気を感じました。

「病室の死」「死んだ母とその子」・・・次々と名作のもつ臨場感が心に肌身に染み込んでくるようでした。大きな窓から無音で降ってくるような、うすい灰色の夕陽を浴びながら・・・

 

 そのとき、壁の向こうから聞こえるかすかな物音にわたしは気付いていませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

Kiitos kailille Suomen Parhaat Ystävät!!

 2020、ヘルシンキでの個展が終了しました。

 2年がかりのプロジェクトで、ずっとそれだけに掛かり切りでしたが、ついに終わってしまいました。

 

 関係者の皆様や、強力にサポートしてくれた親友たちに、あんな気持ち、こんな気持ち、色々お伝えしたかったのに。いつもそうですが、済んでしまうとあっという間。

 

 こんな成功した展覧会はなかなか経験できるものじゃない。

 

 何度も繰り返し来場してくださったお客様、遠い国から深く感謝申し上げます。

 

 そして、親友たち、また近く、次の機会を待っててください。

 

 特にいつも親のように心配してくださっているオリさん、レエナさん、エイラ、アンティさん、カアリナ、ヘイッキさん、お体を大切に。

 トゥッカ、パイヴィさん、素晴らしい友情をありがとう!!

Tusen takk for dear friends, ありがとうM.Aさん!!

2017、あたらしいBLOG書き込もうと一念発起!! 今年のノルウェー個展は個人的には特別な機会となります。これからぼちぼちかきますのでBLOG2017のコーナーを御覧下さい!

 

 

 

2015 7~9月、はしばらく休めていたノルウェーでの個展企画など美術活動を展開中です。ムンクの研究はわたしの生涯のものですが、現在はなにより、ノルウェー高地の森林限界地域の自然環境の取材を行っております。予期せず決死の活動になってしまっておりますが…冗談抜きに死ぬところでした…  詳しくはBLOGのJotunheimenの項目を御覧下さい!!

 

 

 

2014 7~8月、今年のフィンランドでの美術活動を終え、日本にかえって来ました。 全長8mの巨大な絵画を描き上げてきました。 詳しくは後日BLOGで!!

2010-2011 Works in Finland Virrat16,17がいまさら完成しました。よろしければ御覧ください。

                               

 2011年、北欧ラップランドでの写真展を終え、フィンランド内陸部の湖畔の美しい村で、制作と展覧会、また、国際的なアーティストたちとの刺激的なワークショップを終えました。

 現在は、憧れであった、ノルウェーのハルダンゲフィヨルドに面するオールヴィクで、なぜか楽しいオランダ作家たちと、興奮に満ちた日々を過ごしております???

 『厳しい冬を知らずして、北欧の美術は語れない』との思いで、氷との格闘からスタートした私の留学でしたが、春には現地の誰より薄着になれるほどタフになりました。

 冬から春、夏へと急激に変化する北欧の気候には、ただただ圧倒されるばかりです。 

 すっかり報告が伸ばし伸ばしになっておりますが、私の体験していることを少しずつご紹介いたします。